谷川連峰 谷川岳東尾根 (オキの耳1,977m)
GPS LOG | 雪かい! デブリを超えて進む |
![]() |
![]() |
本谷方向を観る…衝立スラブからのデブリが見える。 | 一ノ沢に入り、シンセンのコルに向かう |
![]() |
![]() |
一ノ沢中間部から、出合方向を眺める | 第二岩峰を過ぎて硬い雪壁を登る。時折風が吹き抜ける。 |
![]() |
![]() |
振り返るけど晴れない | 第一岩峰の上。最後の登りと稜線の雪庇 |
![]() |
![]() |
越えてきた雪稜 | 稜線へのフィナーレに向かうAXL |
![]() |
![]() |
第一岩峰を俯瞰する | はい、到着…悔しい、後悔の残る登攀でした。 |
![]() |
![]() |
万太郎方向 | 苗場山の左奥は北ア 白馬あたりだろうか? |
![]() |
![]() |
熊穴沢避難小屋 | 手前トマの耳、奥がオキの耳 |
![]() |
![]() |
個人山行 雪稜登攀
日 時 平成22年03月14日(日)
参加者 AXL、WKB(小国山岳会)、LTQ(下越山岳会)
行き先 谷川連峰 谷川岳 東尾根
天 候 強風を伴う小雪〜快晴
気 温 14日 1.8度〜8.5度 (気象データは水上04:00〜13:00)
現地付近 -5°以下と推定(まつ毛、ポカリが凍る)
風 速 1M〜4M (気象データは水上04:00〜13:00)
現地、北寄りの突風を伴う
風 向 NE〜ENE〜E〜SE〜E〜ESE
目 的 雪稜登攀
装 備 日帰冬山
登はん用具:ヘルメット、Wアックス、ハーネス、クランポン、確保器、ヌンチャク、エイト環、カラビナ、安環付カラビナ、スリング、ユマール、タイブロック
雪山用具として、ストック、ワカン
ナビ用品:GPS・地図・シルバコンパス・マップポインター
防寒具:ダウン・フリース
コースタイム 事 柄
04:25 ロープウエイ山麓駅発 (750m) 星が見える。期待する。
04:57 マチガ沢通過 (838m) 道路の雪は締まり歩き易い。
05:25 一ノ倉沢出合着 (875m) 食事、装備装着
05:55 一ノ倉沢出合発
07:28 シンセンのコル着 (1,535m) 強風で下山パーティーが下っていく。
07:40 シンセンのコル発 天候は回復傾向なので進むことにした。
09:04 第二岩峰着 (1,850m) 食事、様子を観て直登することにした。
10:56 第二岩峰上 (1,870m) 苦労した。後続パーティーを待たせてしまった。天候回復。
11:25 オキの耳着 (1.977m)
11:36 トマの耳通過 (1,963.2m)
12:37 熊穴沢避難小屋通過 (1,465m) まだまだ雪の下
13:05 ロープウエイ駅着 (1,320m)
概略
昨年から谷川岳東尾根の登攀を計画していたが天候と諸般の都合で入れなかった。
2月には案外行事が多く出かけるチャンスも少なく、3月に期待していたが今年の登山禁止措置が
3月19日(金)〜となるとのことで今週がワンチャンス。幸いに天候も味方してくれそうだ。
この谷川岳東尾根は雪稜が見事な谷川の冬期クライミングの入門ルートとして有名でありダイナミックな
雪稜が魅力的とのことでとても楽しみにしていた。
メンバーは今年も昨年の計画と同じ、AXL、WKB(小国山岳会)とボク。
記録
3月13日(土)に慌ただしく準備し東スポに行き、ボードで遊ぶが明日のコトが気になり、ホンの少々となってしまう。
雨の中、高速で水上ICを目指す。長岡を過ぎる頃から雨が雪に変わる。
今日は午後から回復傾向なハズだが少し遅れているのか?
川口SAで早目の晩飯。AXLから電話。雪だが大丈夫かな?とのことだが、天気予報の回復を信じて大丈夫でしょう。行こう。と話す。
関越トンネルを抜けると星が見えた。水上ICを通過し、湯テルメで入浴し集合場所のBP(ベースプラザ)に向かう。
やっぱり、水上温泉を過ぎると小雪が舞う。
集合場所で荷物を降ろしているとAXL車も到着。早速、天気祭り。
早めに休んで明日に備える。BPにはソコソコの人が居る。山屋にボーダーの若いグループ。
目覚めて早々にメシを食べて準備をして、予定より少し遅れて出発。星空だ。期待が高まる。
アスファルトの水は凍っている冷えている。いいぞ・・・・
歩いていると猛ダッシュの2人パーティーが走り去る。
マチガ沢を通過する頃から、時折強い風が吹き、雪が舞ってきた。
一ノ倉沢の少し手前からボンヤリと景色が見え始めてきた。時折強い風と雪、ボンヤリと見える一ノ倉沢は
オドロドロシイ雰囲気がある。先行パーティーが出ていく。登攀具類を着けて食事を摂り出発。
デブリを越えて進み一ノ沢に入る。雪質は堅く締まっている。
AXL、WKBが飛ばす…急な沢をどんどん登る。ボクの足では付いて行けないのは判っているのでマイペースで登る。
一ノ沢の出合から、シンセンのコルまでは、標高差300m位かなと何故かそう思い込んでいた・・・・
今もってこの思い込みの理由は判らない。まあ、いずれにしてもかなりの登りで、時計の簡易高度計では約600mの登りだった。
シンセンのコルに近づくと、降りてくるパーティーが…風が強いので降りるという。
少し休んでいる間にまた1パーティー状況が悪いので止めよう。と話し合い降りていく。
どうする?
1パーティー出ていく・・・・
まあ、様子観ながら進みましょう。天候は回復してくるハズだし…
出ていくとすぐ前に出たパーティも止めるようで先行を促される。
第一岩峰の基部を巻いて戻り左側やや広いのルンゼ状の雪壁を登る。
雪質はザラメ雪が凍っている様な感じで感触は堅めで心地良い安心感がある場所と
凹部は軟雪が吹き溜まっている感じに所々に凍った草付き。軟雪以外はアックスが良く効いて助かる。
雪壁をWアックスでシャカシャカ登り雪稜にでるが、視界がなくどの辺に居るのかよく判らない、
多分この辺で落ちると、一ノ倉沢の谷底までは止まらないような場所じゃない?
う〜ん判んないけどガスの中にルンゼが消えていく・・・・
視界があればもっと精神的に怖さがあるかも知れないが、このルートで絶景が楽しめないのは
残念至極だなぁ・・・・
観音台とか言う付近と思うトラバースも今回は平均台の様だ随分写真のイメージと違う。
そして問題となった第一岩峰
第一岩峰をトレースは巻いているが、出だしが悪そうで食事を摂りながら考える。直登することにしたが下から観ると
薄被りのガバという感じで、急な部分は4〜5メートル。ただ、途中に残置支点等が見当たらない・・・?
甘いボクは、簡単ナンダロウなぁと思っていた。
後続の2人パーティーが到着。
岩峰は巻いていくとのこと。
リードはAXL。フリー、クランポンでのクライミングが上手いAXLだけど、何だか難しいムーブで少しずつ登っている。
あれ?オカシイな???
少しやな予感
ムズイ所で残置支点がないのは怖い。短いけれど難しい場所が終わってからピトンが一枚。
ロープがどんどん伸びていく。これだと、フォローはどうすれば?と少し考える。
これが打ち合わせというか、意思確認の不足。
さらに後続パーティが到着。
セカンドでWKBがフリーで取り付いて行ったけど落ちた・・・
ユマールを使い何とかかんとかクリア
ラストのボクもフリーで登るが・・・落ちた。
簡単だと思い込んでいたのに落ちた。それもガバに見えたけど微妙に外傾していて、雪が乗っていてナカナカ滑る。
シャニムに掴むけれど、握力がどんどん奪われマタモ落ちた。
こうなると、パニックに近い。後続を待たせたくないという気持ちの焦りも手伝って、無理に掴り続け消耗していく。
後続のパーティーからザックを降ろして登った方がいいよ。とアドバイスを頂く。
アドバイスとはいえ、心の中は、「早く行けよ〜」ということ。ご尤もでございます・・・・
と、ザックを降ろし、登る。何とか、かんとか腕全体がパンパンの状態で急な部分を登り終えて、後続の方にロープにザックを着けて頂く。
後続パーティーのロープを残置支点にフィックスするように依頼され、フィックスする。
なんて、マヌケをしたのだろう。こんな腕全体をパンプさせたのは多分、初めて人工登攀の練習をした時以来だろうと思う。
第一岩峰の上に出ると青空が広がりいきなりの快晴となる。
少し休んで、AXL、WKBにマヌケを詫びる。
最後の雪壁を登り右に廻り込んで雪庇を乗り越え登攀終了。3人で握手して無事を祝う。廻りは多くの天神尾根からの人がいる。
何だか、急に都会にきたみたいだ。
登ったという気持ちと自分のマヌケさに腹が立つ思いが一杯だった。
それと、やはり視界の無いナイフエッジはイマイチ何というかスパイスの効きがなく心残りである。
それでも、360°のパノラマは素晴らしかった。遠くは富士山、北ア(多分白馬?)まで見渡せる。青空と真っ白な雪。
写真を撮って下山。途中で装備を外し、食事を摂りロープウエイ駅を目指す。
標高を下げ、風もなく汗をかきながら、ロープウエイ駅着
かなり、苦みの強い東尾根でした。
反省点
@ 確保システムは判っているつもりでも、確認すること。
A ルートはゲレンデじゃないので、登れない時は、サッサと登れる方法に切り替えること。
Aについて付記すると
いつも思っていること。そのものなのに、何故か全くアタマから抜け落ちていた。
今回の場合、フリーでだめならサッサと自己脱出(登り返し)の要領で3メートル前後登ればナンテことはない。
落ちたり、時間をかけて疲労困憊するまで、腕力を使うなど愚の骨頂。
馬鹿のやるとこと・・・・本当に腹が立つ。
・・・・道具揃っているのに・・・おマエのギアラックのギアは何のためにあるんだ?
何のために自己脱出の練習をしているのやら・・・・・
結局、簡単と思い込んでいたところ、ムズイ状況で焦る。挙句に落ちた。落ちる・・・
それでも、馬鹿の一つ覚えの様に同じ方法を繰り返す。
焦る・消耗する・ドツボに嵌り込む。
フリーで登れないのはヘタクソなのだから仕方ない。ゲレンデで練習することで解決すべき。
登れない時するべきことは、いかに安全に早く登る方法に切り替えるべきだったのだが、
焦りとか、そういう気持ちの問題でそれが出来なかった。
今回はやはりパニくっていた。そういうことだろう。
いわゆる、アタマ真っ白の状況です。
多分、こういう状況って事故るんじゃないでしょうか?
はぁ〜
ため息が今回の感想です。
来年もう一度行きたいなぁ
スッキリとした登攀としたい。
AXL、WKB
ありがとうございました。
以前の記録へ戻る
トップページへ戻る